【新卒応募が来ない理由】大学と連携するだけで変わるってホント!?

就活・採用

求人サイトに掲載しているのに、応募が集まらない。

新卒採用の担当者なら、一度はこの壁にぶつかったことがあるのではないでしょうか。

売り手市場が続くなか、求人媒体に頼るだけの採用活動は年々厳しくなっています。

そんな状況でも着実に成果を出している企業に共通するのが、大学との連携です。

筆者自身、理工系学生の採用に関わる仕事をしていて、日々大学とどうつながるかというテーマと向き合っています。

今回は、その中で見えてきた考え方や具体的な進め方をまとめてみました。

なぜ今、大学との連携が新卒採用のカギになるのか

求人媒体だけに頼る採用の限界

求人媒体は、掲載している間こそ多くの学生の目に触れます。

しかし掲載期間が終われば、流入はゼロに戻ってしまう。
しかも知名度の高い大手企業と同じ土俵で戦うことになるため、中小企業や成長企業ほど埋もれやすいという構造的な問題を抱えています。

求人サイトへの出稿は、いわば毎年ゼロから積み上げ直す消耗戦のようなもの。
予算を増やせば一時的に応募数を伸ばせても、掲載を止めた瞬間に流入は途絶えてしまいます。

一方、大学と関係を築ければ、求人媒体に頼らなくても、大学から学生を紹介してもらえる継続的な採用ルートができあがります。

一度信頼関係ができてしまえば、毎年ゼロから母集団形成をやり直す必要もなくなるでしょう。
訪問や情報提供の積み重ねが、そのまま来年、再来年の採用活動を支える土台になっていくのです。

大学連携は、数ある採用手法のひとつというより、求人広告費に依存しない採用基盤そのものをつくる取り組みなのです。

短期的な数字の獲得ではなく、中長期で採用力を底上げする施策として捉えたほうが、取り組む意味を見失わずに済むはずです。

学生は大学経由の情報を多く受け取っている

見落とされがちですが、学生は想像以上に大学経由で就職情報を受け取っています。

株式会社キャリタスが全国の大学のキャリアセンターを対象に行った調査(2025年11月発表)によると、2026年卒学生への情報伝達手段として、大学側は以下のように回答しました。

就職みらい研究所の調査(2024年度)でも、キャリアセンターが実施する就職ガイダンス・支援サービスへの参加率が80%以上と回答した大学は26.1%にのぼりました。

学生の多くが、大学という場を経由して就職情報に触れている実態がうかがえます。
学生は求人媒体だけでなく、大学という窓口を通じて多くの就職情報に触れている。

この経路に接点を持てていない企業は、それだけで学生の目に触れる機会を自ら狭めていることになります。
逆に言えば、大学という経路をきちんと押さえておくだけで、他社より一歩優位な立ち位置に立てる可能性があるということです。

大学が求めているのは求人紹介ではなく学生支援という視点

企業目線ではなく学生目線に立つ

大学連携を始めようとするとき、多くの企業がまず考えるのは、求人票を送る、キャリアセンターに訪問する、学内説明会に参加するといった行動でしょう。

どれも大学連携の入り口として間違ってはいませんが、それだけで関係が深まるとは限りません。

大学側が大切にしているのは学生の就職先を増やすことではなく、学生が納得してキャリアを選べるよう支援することです。

企業が採用したいという目的だけで動くと、大学側にはどうしても一方的な売り込みに映ってしまいます。

大事なのは自社をどう売り込むかではなく、学生にどんな価値を届けられるかという視点に立つこと。

  • 業界理解が深まる機会になっているか
  • 学生が自分のキャリアを考えるきっかけになっているか
  • 一方的な会社説明で終わっていないか

この視点があるかどうかで、大学側の受け止め方は大きく変わってきます。

同じ内容を伝えるにしても、学生のために何を届けられるかを起点に組み立てた提案は、大学側にとって協力しやすいものに変わっていくはずです。

大学とのつながりをつくる具体的な方法

学生支援の視点が大事と言われても、具体的に何をすればいいのかわからない。
そんな方も多いと思います。

ここでは実務レベルでの動き方を、系統ごとの違いも含めて整理してみます。

キャリアセンターだけでなく、就職担当教授・学科事務室にも目を向ける

大学訪問というと、まずキャリアセンター(就職課)を思い浮かべる方が多いはずです。
もちろんそれは間違いではありません。

ただ、送り先の窓口ひとつで求人の届き方は大きく変わります。

学部・学科の系統によって、有効なアプローチは異なるのです。

どの窓口が学生に一番届きやすいかを見極めることが、大学連携の成果を左右すると言っても過言ではありません。

理工系は就職担当教員・学科事務室・研究室が効果的

理工系の学生を対象とした求人の場合、キャリアセンターに送るだけではあまり効果を見込めません。

もっとも学生の目に留まりやすいのは、各学部・各学科の就職担当教員に送ることです。
専門分野に近い立場の教員から紹介される求人は、学生にとっても信頼度が高く映りやすいという特徴があります。

学科などが管理している事務室に送るのも有効な手段のひとつです。
求人について、学生への周知に協力してもらえる可能性が高いでしょう。
事務室は日常的に学生と接する機会が多いぶん、掲示や声かけといった形で情報を広めてもらいやすい存在でもあります。

もうひとつ効果が高いのが、各研究室の教員に送るという方法です。
この場合、研究室がどんなテーマで研究しているのかを事前に調べ、自社の事業と親和性の高い研究室に絞って送るというアプローチもアリだと思います。
事業内容と研究テーマが近ければ近いほど、教員側にも学生に紹介する意味があると感じてもらいやすくなるはずです。
手間はかかりますが、その分ミスマッチの少ない紹介につながりやすい方法でもあります。

文科系はゼミの教員が本命

一方、文科系の学部・学科を対象とした求人では、事情が変わってきます。

キャリアセンターに送るだけでは、あまり展開してもらえない可能性が高く、効果が出にくいのが実情です。学部や学科が管理する事務室に送っても、同様に効果は薄いでしょう。

理工系とは異なる窓口選びが必要になる、という点をまず押さえておく必要があります。

文科系学生に向けた求人でもっとも効果が高いのは、ゼミを担当する教員に直接届けることです。
ゼミの教員は学生一人ひとりの人柄や志向をよく把握しているぶん、学生への紹介にも熱が入りやすいという特徴があります。
少人数で顔の見える関係だからこそ、教員自身がこの学生に合いそうだと判断して声をかけてくれるケースも少なくありません。

理工系は就職担当教員・事務室・研究室、文科系はゼミの教員。

ターゲットとする学部・学科の系統に応じて、送り先を使い分けることが大事なポイントになります。

同じ大学に求人を送るという行動でも、相手の系統によって最適解が違うことを意識しておきたいところです。

学校ごとの正確な情報を把握し続ける

大学訪問を一度実施して終わり、という企業は少なくありません。

しかし大学の教員や担当者の情報は、年度ごとに変わっていきます。
前年の情報のまま連絡を続けてしまうと、担当が変わっていて話が通じない、というようなことも起こりえます。

せっかく築いた関係が、情報の更新漏れひとつで振り出しに戻ってしまうことも珍しくありません。

学部・学科構成の更新

学部の再編や学科名の変更は珍しいことではありません。

ターゲットとする学部・学科が今も同じ構成かどうか、定期的に確認しておく必要があります。

特に新設・改組が多い学部の場合、数年前の情報のまま動いてしまうと、送り先そのものがずれてしまう恐れもあるため注意が必要です。

担当教員・連絡先の更新

就職担当教授や事務室の担当者は、異動や退職によって年度ごとに入れ替わることがあります。

担当者が変わったことに気づかないまま連絡を続けると、せっかくの情報が届かずに終わってしまうこともあるため、こまめな確認が欠かせません。

更新頻度の目安

年度替わりのタイミング(多くの大学で4月前後)で、少なくとも年に一度は情報を見直したいところです。

学部・学科構成、担当教員名、連絡先。
こうした情報を定期的に更新し続けること自体が、大学との関係を維持するうえで欠かせない作業になります。

地味な作業ではありますが、これを怠ると、それまでの訪問や提案がすべて無駄になりかねません。

アナログとデジタルを組み合わせて発信する

メールだけ、あるいは訪問だけといった単一の手段に頼らず、郵送や訪問といったアナログな手段と、メールなどのデジタルな手段を組み合わせる。

それだけで、情報が届く確率はぐっと高まります。
窓口となる担当者によって好みの連絡手段が違うことも多いため、複数の手段を用意しておくこと自体が、リスクヘッジにもなります。

訪問・郵送で伝える

対面での訪問や書面の郵送は、時間や手間がかかるぶん、相手に丁寧に向き合ってくれているという印象を与えやすい手段です。

特に初回のあいさつや、継続的な関係を築きたい相手には、こうした手間をかけたアプローチのほうが記憶に残りやすいでしょう。

メールで伝える

一方でメールは、複数の学校に対して効率よく情報を届けられます。

大学という組織は、担当者によって好む連絡手段が異なることも多いため、両方の手段を持っておくと安心です。

定期的な情報更新や、急ぎの連絡にはメールが向いている場面も多くあります。

学校推薦制度・リクルーター活動という選択肢

大学との関係が深まってくると、学校推薦という形で学生を紹介してもらえるケースも出てきます。

これは、大学がこの企業なら学生を任せられると信頼している証でもあるでしょう。

ここまで来ると、求人票を出すだけの関係とは一線を画す、いわば大学連携の到達点のひとつと言えます。

学校推薦制度

大学やゼミ・研究室単位で学生を推薦してもらう制度です。

信頼関係が前提となるため一朝一夕には得られませんが、一度機能し始めれば、安定した母集団形成につながっていきます。

推薦という形をとることで、学生側にも大学が認めた企業という安心感が生まれやすくなる点も見逃せません。

リクルーター活動

自社の若手社員がリクルーターとして母校を訪問し、後輩学生と接点を持つリクルーター活動も、大学との関係構築において有効な手段のひとつです。

社員自身が大学の文化や雰囲気を理解しているぶん、キャリアセンターとの会話もスムーズに進みやすいという利点があります。

年齢が近い先輩社員だからこそ話せる本音の部分は、学生の志望度を高めるうえでも大きな役割を果たします。

やってしまいがちなNGアプローチ

大学連携がうまくいかない企業には、いくつか共通した特徴があります。
心当たりがないか、一度自社の動き方を振り返りながら読んでみてください。

求人紹介だけを目的にしてしまう

自社の採用情報を伝えることだけが目的になると、大学側には一方的な売り込みと映ってしまいます。

学生支援という大学側の目的とずれたまま接触を続けても、関係はなかなか深まっていきません。

一度きりの接点で終わらせてしまう

一度訪問しただけで満足してしまい、その後のフォローがない。

よくあるパターンです。

せっかく初回の訪問で好印象を持ってもらえても、その後の接点がなければ、大学側の記憶にも残りにくくなってしまいます。

情報更新を怠ってしまう

担当者や学校情報を更新しないまま、前年と同じ情報で連絡を続けてしまうケースも見受けられます。

担当が変わっていることに気づかず送り続けてしまうと、せっかくの情報が誰にも届かないまま埋もれてしまうこともあります。

心当たりがある場合は、一度アプローチの仕方を見直してみる価値があるはずです。

継続的な関係構築が資産になる理由

信頼の蓄積には時間がかかる

大学連携は、一度接点を持てばすぐに成果が出るものではありません。

信頼関係の構築には、数年単位の時間がかかることも珍しくない。

すぐに結果を求めてしまうと、途中で心が折れてしまう企業も少なくないでしょう。

積み重ねが安定した採用ルートになる

だからこそ価値があるともいえます。

継続的に接点を持ち続けている企業は、大学側から毎年きちんと関わってくれる企業として認識され、学内イベントへの継続参加や学生の紹介につながっていきます。

逆に、一度きりの接点で終わらせてしまえば、この資産は積み上がっていきません。

学校情報を更新し続けること。
複数の窓口と接点を持ち続けること。
学生目線の企画を継続すること。

こうした地道な積み重ねこそが、大学との信頼関係、そして安定した採用ルートをつくっていきます。

派手さはありませんが、長い目で見ればもっとも堅実な採用基盤になっていくはずです。

まとめ:大学連携は一朝一夕にはいかないが、続けた企業だけが得られる資産

新卒採用の応募数を増やすには、求人媒体だけに頼らない採用ルートを持つことが重要です。
その答えのひとつが、大学との連携でしょう。
理科系・文科系という系統の違いを踏まえたうえで、窓口を正しく選ぶことも成果を左右する大切な要素です。

大学連携は、求人票を送ればすぐに結果が出るものではありません。
大学側の目的を理解し、学生にとって価値のある接点を提供しながら、正確な情報を更新し、複数の窓口との関係を続けていく。

この地道な取り組みこそが、他社には真似できない採用力になっていきます。
すぐに成果が出るものではないからこそ、早めに動き始めた企業が、数年後に大きな差をつけることになるはずです。

筆者自身、理工系学生の採用に関わる仕事をする中で、大学との地道な関わりを続けた企業が報われるのだと感じています。

この記事が、大学連携に踏み出す最初の一歩の参考になればうれしいです。

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